MBCTマインドフルネス認知療法

MBCTとは

MBCT for Depression

MBCT(Mindfulness-Based Cognitive Therapy マインドフルネス認知療法)は、うつの再発予防のために開発されたプログラムです。Zindel Segal博士、John Teasdale博士、Mark Williams博士ら心理学や認知行動療法分野における著名な研究者により開発されました。MBCTは、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)と認知行動療法を組み合わせて構成されています。著書、” Mindfulness-Based Cognitive Therapy for Depression”は、この手法について詳細な説明がなされており、第1版は日本訳も出版されています(英語版は現在第2版まで出版)。

MBCT for Life

また、現在では、そこから発展した、より多くの人々に受講いただけるプログラムであるMBCT-L(Mindfulness Based Cognitive Therapy for Life)も提供されています。痛みや困難に対処する方法を学ぶだけではなく、思いやりや平静さを育むためにも日常生活へどのように応用するかについて学ぶプログラムです。well-Beingの向上、うつになる前の予防として用いられています。

Mindfulness : Taking it further

8週間コースの次に何が起こるのか?プログラム終了後、何が支えになるのか?どうすれば、人々がマインドフルネスの練習を続けることができるのか?
こういった問題意識のもと、Mindfulness: Taking it further(実践の継続のためのマインドフルネス12週間コース)は、MBCT(マインドフルネス認知療法)、MBSR(マインドフルネスストレス低減法)などのマインドフルネス8週間プログラムを学んだ方に向け、その学びを継続し、より深めていくためOxford Mindfulness FoundationのWillem Kuyken博士、Alison Yiangou氏らにより に作られました。

MBSR、MBCTといったコースが、主に、個人の内側に意識を向け、上手に反応していくことを学ぶのに対し、当コースでは、人生の中で本当に大切にしたい価値に沿って生きていくためにマインドフルネスがどのように助けになるか、自分自身だけでなく、社会、世界や環境にどのように関わっていくか、どのように体現していくかへと視野を広げていきます。

このプログラムは以下のようなことを意図しています。

  • マインドフルネスの実践を強化・深化する。
  • 大切にしたい価値を自覚し、それを体現できる力を養う。
  • 8週間のカリキュラムで学んだ主要なテーマをより深く理解し、さらに広げる。
  • 自分自身、他者、社会、環境との関係性の中でマインドフルネスやコンパッションを育み、マインドフルな関係の可能性広げる。
  • 参加者が自分で学習を深めたり伸ばしたりする能力と自信を養う。

プログラムは12回のテーマで構成されています。

コース提供フォーマット

  • 8週間 ✕ 2-2.5時間のセッション、および、終日練習を行うプラクティスデーにより構成されます。(Taking it furtherは12週間)
  • 瞑想や、その他のエクササイズを通じ、参加者各人の体験を起点に学びを深めていきます。
  • 1クラスの規模は、4〜20名程度です。
  • 主な瞑想 (MBCT-D, MBCT for Life, Taking it furtherコースにより異なります)
    • ボディスキャン(共通)
    • 座る瞑想(共通)
    • 寝て行うムーブメント(共通)
    • 立って行うムーブメント(共通)
    • 3ステップ呼吸空間法(共通)
    • Befriending瞑想(Life)
  • その他、主なエクササイズ、気付きの実践
    • レーズンエクササイズ(共通)
    • 日常の瞬間に気づく(共通)
    • 思考と感情のエクササイズ(共通)
    • 嬉しい出来事カレンダー(pleasant calendar)、不快な出来事カレンダー(unplesant caldendar)(共通)
    • うつのメカニズム(D)
    • 困難な感情に関わる(共通)
    • 悪循環の花(共通)
    • 10本指の感謝の瞑想(Life)
    • 50-50の実践(Life)
    • シンプルな親切な行動(Life)

※Taking it Furtherコースは、MBSRやMBSR、またはそれ同等のプログラムを受講した方が参加することができます。

8週間コースの構成

MBCT for Lifeの場合:

week1. 自動操縦状態から目覚める
自動操縦状態では、気づかないうちにdoingモードになってしまい、反芻する思考パターンが、うつを引き起こします。自覚のない習慣的なdoingモードは、充実した気持ちで毎日の生活を送ることの妨げにもなります。ある特定の方法で、意図的にそのことに注意を向けることにより、自分自身の体験のあり方を変えます。食べること、体の感覚、日々の体験に対して、意図的に、マインドフルに、注意を払うことで、自動操縦状態から抜け出る練習を始めます。
また、日常の些細な感謝の出来事に気づくトレーニングを行います。

week2. 異なるありかたで存在する:体を心の中に留める
doingモードにおいて、私達は、思考を通じて間接的、概念的に自分の経験について「知る」に過ぎません。このことは、同じことを堂々巡りしたり心配したりすることの中に、簡単に迷い込んでしまうことを意味します。身体に対してマインドフルになることにより、直接的、直感的すなわち「体験的」にこれまでにない物事の知覚のあり方を探る機会を得ることができます。
その方法として、特に身体感覚を用いたトレーニングを行います。

week3. 散らばった心を集める
心は多くの場合あちらこちらに散らばっており、思考の中に迷い込んでいます。なぜなら、心は、 自分がきづかない、まだ終わっていない仕事を終わらせようとしたり未来のゴールに向かう頑張りの中で、動き回っているからです。そのかわりに、意図的に、いま、ここに「戻ってくる」ための道を見つける必要があります。呼吸と身体は、私達がマインドフルに存在することと再びつながり、一箇所に集まり、心を落ち着かせるよう、常に傍にあって私達の集中を助け、doingモードからbeingモードへの移行を容易にしてくれます。

week4. 自動反応を認識する
「戻ってくる」力は、私達をdoingモード、思考の堂々巡り、心がフラフラと出歩くこと、心配といったことに「連れ去って」しまうものが何であるかを明確に理解することを通じて、補強される必要があります。そのために、まずは「自動反応」がどういうものであるかを体験的に探ることから始めます。それこそが感情的な苦しみの根本にあるものです。マインドフルネスは、物事に見方について他の方法を提示することにより、現在にとどまることを促します。そのことは、私達が、より広い視点をもち、体験に違う方法で関わることの助けになります。

week5. 受け入れ、あるがままにさせる
不快な感情や感覚に異なるありかたで関わること、つまり、物事がすでにあるそのままの状態であることを許すこと。判断をしたり物事を違うように変えようとすること無く、意図的に、すべての体験をあるがままにしておくことを許すようにすることにより、自動反応の力を弱めることができます。
また受容の力を高めるため、すべての体験にやさしさを持って向き合うトレーニングを行います。

week6. 上手に対応する:思考は事実ではない
思考への異なる関わり方を学びます。ネガティブな気分は過ぎ去っていく心のいっときの状態であり、思考はそれらの心の状態から歪んで生み出されたものである、と明確に理解すると、doingモードによる思考の堂々巡りから自由になることができます。自分の思考が単なる思考に過ぎないこと、思考が生じてきた文脈、そのようなことに気づくことは、心の重荷を取り除くことにつながります。そうして、クリアな判断で、上手に思考に対応していきます。

week7. 自分自身を大切にするには
気分が落ち込んだ際に、自らをケアするための上手な行動を学びます。意図的に上手に行動することにより、気分を持ち上げることができます。自らの警報が発せられるパターンについて知っておくことにより、気分が落ち込んだ際に、素早く、効果的に対応することができます。呼吸空間法を行った後、喜びや達成感を与える行動をとる、もしくはマインドフルネスへの明晰な集中を保つことで、自らをケアします。

week8. 人生のためのマインドフルネス
新しい生き方を計画します。よりマインドフルで自らをいたわるように気がけるためには、明確な意図と準備が必要です。日常的なマインドフルネスの練習を行おうという意図を、自分自身の大事にしている価値や自らをケアする前向きな理由と結びつけることが役に立つでしょう。

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