MBCLとは
MBCL(Mindfulness-Based Compassionate Living マインドフルネスに基づくコンパッションのトレーニング)は、自他に対するコンパッション(思いやりの気持ち)を育てるためのコースです。精神科医 Erik van den Brink 博士と精神看護師として働いた経験がありヴィッパーサナ瞑想の指導者でもある、MBSR講師 Frits Koster により開発されました。MBCLは、この両名の医療現場などにおける経験に加え、 Paul Gilbert博士、 Christopher Germer博士、 Kristin Neff博士、 Tara Brach博士らの業績を取り入れて開発されたものです。そして、このコースはMBSR MBCT breathworks8週間修了生など、基本的なマインドフルネスのスキルを身に付けた方が受講できるコースとなっています。
コンパッションにより、自分自身や他者の痛みや苦しみに鋭敏に気づき、癒したいと思う気持ちが育ってきます。また、困難な状況における自分自身の可能性を理解しようとする意志を育てることもできるようになります。
誰しも、コンパッションを持つ力を有しています。しかし、様々な理由により、多くの場合その力は発揮されないままになっています。トレーニングや継続的な練習により、コンパッションは育み、深めていくことができるものであり、それこそがMBCLの目指すところです。
コース提供フォーマット
- 8週間 ✕ 2-2.5時間のセッション、および、終日練習を行うプラクティスデーにより構成されます。
- 瞑想や、その他のエクササイズを通じ、参加者各人の体験を起点に学びを深めていきます。
- 1クラスの規模は、4〜30名程度です。
- 主な瞑想
- やさしさを伴う呼吸空間法
- 安全・安心を感じる場所
- やさしさの瞑想
- コンパッションを伴い困難/欲求を扱う瞑想
- コンパッションをともなう呼吸の瞑想
- コンパッションを与えくれる仲間
- コンパッションモード
- 許しの瞑想
- やさしさのボディスキャン/歩く瞑想
- 平静さの瞑想
- その他、主なエクササイズ、気付きの実践
- 脅威&獲得&スージング(やすらぎ)システム
- ストレス反応とコンパッション
- インターパターンに気づき対処する
- コンパッションの花(コンパッションの要素)
- 自己と他者について
- 四無量心(慈悲喜捨)、人生の4つの友
- 日常生活への橋渡し
8週間コースの構成
week1. 3つの感情制御システム
コンパッションの定義に始まり、私たち人間が進化の過程で身につけてきた3つの感情制御システム(脅威システム、獲得システム、やすらぎシステム)がどのように作用しているかを学びます。コンパッションのトレーニングの基礎になる、安らぎシステムを育てる実践として、安全な場所(安心を感じるイメージ)の瞑想を行います。
week2. ストレス反応とセルフ・コンパッション
本能的なストレス反応(闘争、逃走、硬直)と、それが心理的に現れる場合に、コンパッションがどのように助けになるかを実践します。脅威システムを取り扱う、困難に関わる瞑想を実践します。
week3. 内的パターンに気づく
私たちのうちに潜む、自らを批判する内的パターンや、恥、罪の意識といった感情に対する理解も深めます。そこに名前をつけ、上手に関わる実践を行います。3つの環状制御システムでは獲得モードに関連し、欲求を扱う瞑想を行います。
week4. コンパッションを体現する
コンパッションを構成する要素、それを育てるスキル、それが育つ環境を表した「コンパッションの花」を学び、コンパッションへの理解を深めます。そして、自らの中にコンパッションを見出すための実践として、コンパッションモード(コンパッションに満ちた自分をイメージする)実践を行います。
week5. 自己と他者
常に変わらないと想定される自分のイメージに対し、変化していく自分を知り、コンパッションを花を育てていていきます。自らにコンパッションの手紙を書きながら、一方で、困難な他者に対するやさしさを向ける瞑想実践も行います。
week6. すべての人に対する幸福
慈悲喜捨(やさしさ、コンパッション、喜び、平静さ)のこころを養い、自分からより他者に向けた、広がりのある心の状態を育てていきます。また、日常にある善や、ありがたさ、感謝に気づく実践も行います。
week7. 日常生活へ
日常生活を振り返り、コンパッションの実践をそのなかに持ち込むための準備を行います。瞑想実践としては、平静さを養う瞑想を行い、これまでの学びを振り返ります。
week8. コンパッションの癒やしのちから
8週間を振り返り、あらためて自分にとってコンパッションがどのような意味を持ち、日々の実践がどのように助けになるかを振り返ります。そうして、コース終了後の継続に向けた計画を立てます。